ワイヤーカットとレーザーカット加工の違いについて

製品部入子②

放電現象による非接触加工であるワイヤーカットは、同様の非接触加工であるレーザーカット加工と頻繁に比較をされます。しかしその違いについてきちんと理解をした上で使い分けているケースはあまり多くはありません。

ここでは、同様の非接触加工であるワイヤーカットとレーザーカット加工の違いについて解説いたします!

ワイヤーカットとは?

まず、ワイヤーカットについてあらためて説明いたします。

ワイヤーカットとは、正式にはワイヤー放電加工と言われる放電加工の一種で、真鍮などのワイヤー線に電流を流して加工物を溶融させながら切断する加工方法です。ワイヤー線には、主に真鍮製のワイヤー線が使用されますが、タングステンやモリブデン製の電極線もございます。また、ワイヤーカットをするための工作機械を、ワイヤー放電加工機と言います。

ワイヤーカットは一般的には馴染みの少ない加工方法ではありますが、様々な製品の金型部品、家電製品、輸送機部品など、日常生活の中でも使われている製品を製造するために使用されている加工方法でもあります。

また、ワイヤーカットの特長としては、①導電性のある材料であれば加工可能、②高精度加工が可能、③テーパー加工も可能、などが挙げられます。

>>ワイヤーカットとは?原理・仕組みから特徴まで、まとめて解説!

 

レーザーカット加工とは?

一方のレーザーカット加工とは、レーザー光線によって加工物を溶融させながら切断する加工方法です。レーザー発振器から出力されたレーザー光が、反射鏡や集光レンズを通して加工物に照射されます。レーザーカット加工の特徴としては、レーザー光の幅が微小であるため、材料に応力が加わらず、ワークが変形しにくいことが挙げられます。最近では、木材・ゴム素材・医療現場といったように、金属以外にもレーザーカット加工が活用される分野が増えています。

>>レーザーカット加工とは?メリットやデメリットについて

 

ワイヤーカットとレーザーカット加工の違い

それでは、ワイヤーカットとレーザーカット加工の違いについてです。

①加工方法

レーザーカット加工では、集光されたレーザー光によって、加工物が高温となり溶融することで切断加工されます。一方のワイヤーカット加工では、ワイヤー線に電流を流して加工物を溶融させながら切断加工されます。そのため、光と電気という点では加工方法は異なりますが、どちらも加工物を溶融させることで切断加工がされるという点では同様と言えます。

 

②加工速度

レーザーカット加工では、毎分700~10,000mmという高速加工が可能です。しかしワイヤーカット加工では、1分あたりに数mm程度のため、肉眼で見ても加工が進んでいるのかはわかりません。そのため、加工速度の点ではレーザーカット加工に軍配が上がります。

 

③加工精度

レーザーカット加工では、精度としては0.05mm程度まで出すことができます。一方ワイヤーカット加工では、0.005mmほどの精度まで出すことができます。そのため、ワイヤーカット加工の方が精度は10倍ほど勝ることになります。
またレーザーカット加工では、レーザーの出力波形によってテーパー形状に加工されてしまいます。一方ワイヤーカット加工では上下方向にワイヤー電極線が張ってあるため、上下のワイヤガイドの調整次第で垂直、テーパーどちらの断面形状でも得ることができます。

>>ワイヤーカットによる高精度加工をするための8つのポイントとは?

 

④板厚

レーザーカット加工では、最大でも30mm程度の板厚材料しか切断加工することができません。しかしワイヤーカット加工では、最大300mm程度の材料であっても切断加工することができます。そのため、板厚がある材料を加工する際は、ワイヤーカット加工を選択した方が精度良く確実に加工することができます。

 

⑤コスト

最後に気になるコスト面
レーザーカット加工機の値段は約2000万円~1億円と非常に高単価です。一方ワイヤー放電加工機は、約1000~5000万円という価格帯です。そのため、費用的にはワイヤーカット加工の方が経済的とも言えます。

これらの違いから言えることは、厚板ではなく高精度を要求されない板金部品を量産する必要がある場合はレーザーカット加工、厚板の場合や高精度が必要な試作品・金型部品の場合は、ワイヤーカット加工が適している、と言えます。

しかし、材料や形状次第では、プレス加工やマシニング加工などの選択肢もありますので、部品ごとに最適な加工方法を選択するように、常に心掛けることが大切です。

 

ワイヤーカットの加工実績

続いて、当社が実際に加工したワイヤーカット加工による加工実績をご紹介いたします。

加工事例:製品駒
製品駒

こちらは、SKD11製の製品駒です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。

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加工事例:製品部入子①
製品部入子①

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。

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加工事例:製品部入子②
製品部入子②

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、マシニングセンタといった複合加工を行っています。

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加工事例:製品部入子④
製品部入子④

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、超精密マシニング加工といった複合加工を行っています。

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加工事例:金型部品⑤
金型部品⑤

こちらは、ワイヤーカットによって製作されたDH2F製の金型部品です。

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ワイヤーカット加工による複合加工とは

当社では、ワイヤーカット加工と他の加工方法を組み合わせた複合加工を可能とする加工設備を保有し、さらに複合加工を実現する加工ノウハウがございますので、お客様に高精度の加工品をご提供しております。ワイヤーカット加工による複合加工については、下記記事で詳しく解説しております。

>>ワイヤーカット加工を用いた複合加工の特徴とは?

 

ワイヤーカットなら、精密部品加工センターにお任せ!

精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。

また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。

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