マシニング加工におけるクーラント選定のポイント

クーラントとは、別名切削油とも呼ばれております。クーラントの使用目的としては、工作機械で加工を行う際に潤滑性を高めること、切りくずを排出(排除)すること、工具と被削材との間に生じる摩擦熱を冷却することなどが挙げられます。ここでは、マシニング加工におけるクーラントの選定について、解説いたします!

マシニング加工とは?

マシニング加工とはNC工作機械マシニングセンタを使用した切削加工です。マシニングセンタは自動で切削工具の交換機能を有しており、穴あけや平面削りなどの切削加工を1台で行うことができる機械です。マシニングセンタは大きく5つの機能に分かれており、機械を自動的に制御する「NC装置」、マシニングセンタの底辺を支える「ベッド」、ベッドから垂直に伸びた柱である「コラム」、回転運動を与える「主軸」、角度を割り出す「インデックステーブル」があります。
マシニング加工を行う際には冷却や切りくずを排除する必要があるためクーラントを使用します。
マシニング加工およびマシニングセンタについて詳しく知りたいという方は、下記技術コラムをご確認下さい。
>>マシニングセンタとは?マシニング加工の特徴やポイントまで解説!はこちら

 

クーラントとは?

クーラントは、別名切削油とも呼ばれております。クーラントの使用目的としては、工作機械で加工を行う際に潤滑性を高めること、切りくずを排出(排除)すること、工具と被削材との間に生じる摩擦熱を冷却することなどが挙げられます。

 

クーラントを使用することで得られるメリット

先述した通り、クーラントの使用目的としては潤滑性を高めること、切りくずを排出すること、摩擦熱を冷却することでございます。ここでは、これらを行うことでどのようなメリットが生じるのかについてご説明をしていきます。
クーラントを使用することで得られるメリットは、3点挙げられます。

摩擦を軽減し切削性を高める

1つ目は摩擦を軽減することで切削性を高めることができることです。被削材の表面には細かな凸凹があり、突起した部分では工具との接地面積が大きくなり、大きな摩擦が生じます。クーラントを使用することで接地面の凹凸を均すことができ、摩擦を減らし切削性を高めます。

切削工具の長寿命化

2つ目は切削工具の長寿命化が期待できることです。マシニング加工における切削加工時には、切りくずが工具に付着する構成刃先という現象が発生します。構成刃先が発生すると刃先が欠けるという問題があります。クーラントを使用することで構成刃先が起こる事を防ぎマシニングセンタの長寿命化が期待できます。

加工精度の向上

3つ目は加工精度(表面の状態、寸法)が向上することです。マシニング加工における切削加工では、構成刃先という現象が発生すると先ほどお伝えしました。構成刃先は刃先が欠けるという問題以外にも、被削材の加工状態が悪くなったり寸法が不安定になったりもします。クーラントを使用することでこれを防ぐことができます。

 

マシニング加工におけるクーラントの種類

次にマシニング加工におけるクーラントの種類についてご説明致します。クーラントには、水溶性クーラント、油性クーラント、オイルミスト、エアブローといったように様々な種類があります。

水溶性クーラント

水溶性クーラントは主に冷却の目的で使用されます。ところが、冷却性が高いため粗加工で工具が発熱をしている際に冷却してしまうと、工具が脆くなり、摩擦が発生しやすくなるということも生じます。一般的には作業環境を清潔に保ちたい、引火による火災の危険性を避けたい場合に最適なクーラントです。当社では、v33iならびに電極加工用(ロボドリル、Sodick)のマシニングセンタを使用する際に水溶性クーラントを使用します。

油性クーラント

油性のクーラントは、他のクーラントと比較をすると潤滑性が最も高くなります。加工の表面状態においても非常に状態がよくなります。ところが、水溶性クーラントと同様に粗加工で工具が発熱をしている際に使用してしまうと、工具が脆くなり、摩擦が発生しやすくなるということも生じます。当社ではv33のマシニングセンタを使用する際に使用します。

オイルミスト

オイルミストは、切りくずの排出性、潤滑性が高く加工精度が出しやすいクーラントです。他のクーラントと比較をすると冷却効果が少ないという特徴があります。当社ではYBM640のマシニングセンタを使用する際に使用します。

エアブロー

エアブローは、切りくずの排出性は高いですが、加工面がむしれやすく冷却効果は少ないのが特徴です。当社ではv33iのマシニングセンタを使用する際に使用します。

 

マシニング加工におけるクーラント選定のポイント

次にマシニング加工におけるクーラント選定のポイントについてご説明致します。マシニング加工を行う際のクーラントとしては基本的にエアブローを採用する場合が多くなります。理由としては、マシニング加工は熱衝撃が大きくチッピングが発生しやすいからです。しかし、目的に応じて様々なクーラントを使用することがあり、ここでは選定のポイントを加工精度、仕上げ面粗さの向上、作業の効率化の3つの項目に分けて解説をしてきます。マシニング加工においては目的に合致したクーラントを使用することが重要でございます。

加工精度

高い加工精度が求められる際には、油性のクーラントを使用する場合がございます。加工精度を求める際には溶着の発生を防ぎ、潤滑性を高めることが非常に重要であり、油性のクーラントはこの点において優れております。

仕上げ面粗さの向上

仕上げ面粗さを向上させるためには、構成刃先が発生することを抑制する必要があります。構成刃先を抑制するためには、溶着の発生を防ぎ冷却性を高めることが重要となります。そのため、仕上げ面粗さを向上させるためには水溶性クーラントを使用することを推奨します。

作業の効率化

作業を効率化させるためには、切りくずの排出性を高めること、冷却性を高めることが重要となります。この場合も水溶性クーラントを使用することが多くございます。

クーラント以外の品質・加工精度を向上させる方法

ドライ加工

切削油をまったく使わない加工を「ドライ加工」とよび、切削油のメンテナンスや廃油の処理が不要で、発熱や切削性に問題がない場合に使われます。

クーラントホースや油穴つきドリルの穴を応用して、冷風を送る方法もあります。

強化プラスチックなどの加工では粉塵が舞い散るため、集塵(しゅうじん)システムがかかせません。

セミドライ加工(MQL)

切削油を霧状(ミスト)にして、少量のクーラントで加工をする方法です。
MQL(Minimal Quantity Lubrication)ともよばれます。

ミスト化した切削油を外部給油や内部給油で噴射することで、少ない切削油を効率よく供給。
クーラントのタンクやポンプが小型になるため、省エネ・省スペースになります。

ミストが人体にはいらないよう、ミストコレクター(吸塵装置)の設置がかかせません。

 

当社のマシニングセンタのご紹介

続いて、当社が保有しているマシニングセンタをご紹介いたします。

牧野フライス:5軸マシニングセンタ V56i
5軸マシニングセンタ V56i

精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ V56iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、精密部品で多用される高硬度材の加工であっても、高効率かつ高精度に加工することができます。 こちらの5軸マシニングセンタでは、主軸に独自の...

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牧野フライス:立形マシニングセンタ V33i
立形マシニングセンタ V33i

精密部品加工センター.comでは、こちらの立形マシニングセンタ V33iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、長時間の加工でも安定した精度で加工することができます。 こちらの立形マシニングセンタでは...

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ファナック:5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL
5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL

精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFLを用いて、装置部品等の加工を行っております。 こちらの5軸マシニングセンタは、高精度かつ高効率な加工を実現できるのはもちろんのこと...

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牧野フライス:大型横型マシニングセンタ a71
大型横型マシニングセンタ a71

精密部品加工センター.comでは、こちらの大型横形マシニングセンタ a71を用いて、装置部品等の加工を行っております。 a71を用いることで大型で重量のある部品の加工が可能となるため、自動車や産業機械など幅広い業界の部品加工に対応ができます。

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マシニング加工の加工実績

続いて、当社が実際に加工したマシニング加工による加工実績をご紹介いたします。

加工事例:製品部キャビ駒
製品部キャビ駒

こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分のキャビ駒です。材質はSTAVAX製です。

加工事例:製品部入子①
製品部入子①

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。 当社では、高精度な精密プラスチック用金型の製造を得意としており、その知見やノウハウを活かして、高精度ワイヤーカット部品を提供しております。 ワイヤーカットは、ワイヤー線の太さがφ0.05~0.3mmということもあり、ミクロンレベルという高精度加工が可能な非接触加工方法として知られています。しかし、さらに精度よくワイヤーカット加工をする際には、細かいノウハウが必要となってきます。

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加工事例:製品部入子⑤
製品部入子⑤-1

こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分の入れ子です。材質はSTAVAX製です。このような複雑な形状も製作可能です。

加工事例:ヒートシンク
ヒートシンク

こちらは、アルミニウム製のヒートシンクです。旋盤加工とミーリング加工によって加工をいたしました。

加工事例:測定用ブロック
測定用ブロック

こちらは、ABS樹脂製の測定ブロックです。全体と穴開けをミーリング加工によって加工いたしました。

加工事例:ネジ駒
ネジ駒

こちらは、マシニング加工によって製作されたSKD11製のネジ駒です。

マシニング加工のことなら、精密部品加工センターにお任せ!

精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。 また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。 「この部品はどこの会社ならできるのかな...?」「加工するのが難しい材料なんだけど、どこにもお願いできなくて困っている...。」「とにかく高精度に加工してほしい!」こうしたお悩みに、精密部品加工センター.comはお応えいたします。精密部品の設計・加工にお困りの方は、まずはお気軽に当社までご連絡ください。

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