アルミ合金とは、アルミニウムを主成分とする合金のことです。アルミ合金は比較的やわらかい材質であるため、マシニング加工においては切りくずが工具に付着し構成刃先という現状が発生してしまいます。構成刃先は、加工精度の悪化や工具に悪影響を与えるため避けなければなりません。ここでは、アルミ合金のマシニング加工におけるポイントということでご紹介させていただきます。
マシニング加工とは
マシニング加工とは、マシニングセンタを使用し、材料を切削する機械加工のことを指します。マシニングセンタでは、自動で切削工具の交換機能を有しており、穴あけや平面削りなどの切削加工を1台で行うことができます。マシニングセンタは大きく5つの機能に分かれており、機械を自動的に制御する「NC装置」、マシニングセンタの底辺を支える「ベッド」、ベッドから垂直に伸びた柱である「コラム」、回転運動を与える「主軸」、角度を割り出す「インデックステーブル」があります。
マシニングセンタでは主にフライス加工、中ぐり、穴開け、ネジ切などの加工をすることができます。
今回は柔らかい性質を持つため、切削効率がいい素材である銅についてご紹介致します。
マシニング加工について詳しく知りたいという方は、下記技術コラムをご確認下さい。
>>マシニングセンタとは?マシニング加工の特徴やポイントまで解説!はこちら
アルミ合金とは
”純金属に1種類以上の他元素を混ぜた金属材料を「合金」と呼びます。金属は、多数の元素が幅広い割合で混ざり合った固溶体(互いに溶け込んで混ざり合った状態) を作ることが出来ます。金属結合は、自由電子の海の中に原子核が浮かんだような状態ですので、別の種類の原子が隣同士になっても共存しやすいのです。”
(引用:公益社団法人 日本金属学会 https://jim.or.jp/everyone/kaibo1.html)
アルミ合金はアルミニウムを主成分とする合金のことです。アルミニウムの特徴としては、軽量・熱伝導率が高い・加工性が高い等といった特徴が挙げられますが、純粋なアルミニウムはやわらかいため高度面において問題があります。そこで、他元素を混ぜてアルミ合金にすることで強度等の特性を向上させます。
アルミ合金の種類
次にアルミ合金の種類についてご説明致します。ここでは、当社で主に取扱い実績のあるA5052、A7075です。
A5052
A5052はアルミ合金の中で中程度の強度であり市場において最も多く流通しております。特徴としては、耐食性・成形性・防錆性・溶接性に優れていることから加工に適しているということが挙げられます。
A7075
A7075は、別名「超々ジュラルミン」とも呼ばれております。アルミ合金の中でも最も強度が高いという特徴があり、マグネシウムと亜鉛で構成されております。溶接・プレス成形・曲げ加工などを行う際にかかる残留応力や外部応力によって割れをもたらす為、使用環境には充分に注意する必要があります。
アルミ合金のマシニング加工における問題点
アルミ合金のマシニング加工で問題として挙げられるのは、構成刃先が生じることです。構成刃先が生じることの問題点としては、工具の刃先が欠けてしまうこと、それに伴って加工精度が低下してしまうこと等が挙げられます。近年は、工作機械や工具材料が発達してきているため切削速度が高速になり構成刃先の問題は重要視されない傾向がありますが、完全に無視することは出来ません。そのため、構成刃先が生じないような工具選定と加工条件の設定をする必要があります。
アルミ合金のマシニング加工におけるポイント
アルミ合金のマシニング加工において、構成刃先を生じさせないためには、材質や形状、工具表面に注意して工具を選定すること、また、加工条件について適切に設定する、という2つのポイントがございます。
工具選定のポイント
アルミ合金のマシニング加工における工具選定のポイントとしては、アルミ合金切削に適した刃物を使用すること、刃物のねじれ角の最適化の2点がございます。
アルミ合金の切削に適した刃物として、耐摩耗性に優れたダイヤモンド工具が広く使われております。ところが、工具形状の創成が容易でコスト面においても利点があるう高速度鋼工具が使用される事もあります。アルミ合金は比較的やわらかい素材であるため鋭い刃先の工具を使用することが基本です。また、切りくずの排出がスムーズに行われるように、コーティングされていたり、すくい面が研磨されていたりすることが重要です。
アルミ合金のマシニング加工を行う際は、刃物のねじれ角が45°程度のものを使用します。角度が大きければ大きいほど工具と被削材の接地面積が少なくなるため摩擦が小さくなります。一般的なねじれ角は30°程度でございます。
加工条件におけるポイント
アルミ合金のマシニング加工における加工条件のポイントとしては、被削材が移動しないようにしっかりと固定することと工具経路(パス)の2点がございます。
被削材が移動しないように固定する方法として、バイスや治具を用います。バイスは固定および清掃が簡単であること、さらに切削油などの液体が使用することができます。治具は異形状でも保持することができるといったメリットがあります。
工具経路(パス)に関しては、材料に対して垂直に刃物を当てないということが重要です。
今回はステンレスのマシニング加工のポイントについてご紹介をさせていただきました。しかし、マシニング加工では材質の特徴を理解し、切削条件に合った設定をする必要があります。他の材質についてのマシニング加工のポイントについては下記をご覧ください。
>>ステンレス(SUS)のマシニング加工におけるポイントについてはこちら
当社のマシニングセンタのご紹介
続いて、当社が保有しているマシニングセンタをご紹介いたします。
牧野フライス:5軸マシニングセンタ V56i
精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ V56iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、精密部品で多用される高硬度材の加工であっても、高効率かつ高精度に加工することができます。 こちらの5軸マシニングセンタでは、主軸に独自の...
牧野フライス:立形マシニングセンタ V33i
精密部品加工センター.comでは、こちらの立形マシニングセンタ V33iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、長時間の加工でも安定した精度で加工することができます。 こちらの立形マシニングセンタでは...
ファナック:5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL
精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFLを用いて、装置部品等の加工を行っております。 こちらの5軸マシニングセンタは、高精度かつ高効率な加工を実現できるのはもちろんのこと...
牧野フライス:大型横型マシニングセンタ a71
精密部品加工センター.comでは、こちらの大型横形マシニングセンタ a71を用いて、装置部品等の加工を行っております。 a71を用いることで大型で重量のある部品の加工が可能となるため、自動車や産業機械など幅広い業界の部品加工に対応ができます。
マシニング加工の加工実績
続いて、当社が実際に加工したマシニング加工による加工実績をご紹介いたします。
加工事例:製品部キャビ駒
こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分のキャビ駒です。材質はSTAVAX製です。
加工事例:製品部丸駒
こちらは、旋盤加工・マシニングセンタ・ワイヤーカット・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分の入れ子です。材質はSTAVAX製です。
加工事例:製品部入子
こちらは、旋盤加工・マシニングセンタ・放電加工の複合方法で製作された、金型製品部分の入れ子です。材質はSTAVAX製です。
加工事例:製品部ネジ駒
こちらは、旋盤加工・マシニングセンタで加工された、金型のネジ駒です。材質はSTAVAX製です。駒先端部にネジの加工が行っており、実際の成形時には、金型内部で回転する部品です。
加工事例:光学業界向け ライトガイド形状 部品
こちらは、マシニングセンタによって加工された、ライトガイド形状の部品です。材質はNAK80製です。パターン面全域で均一な表面状態が求められ、光学業界向けに使用されます。
加工事例:光学業界向けリフレクター
こちらは、S45C製の薄板加工品です。加工方法としては、ワイヤーカットとマシニングセンタの複合加工を行っています。
マシニング加工のことなら、精密部品加工センターにお任せ!
精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。 また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。 「この部品はどこの会社ならできるのかな...?」「加工するのが難しい材料なんだけど、どこにもお願いできなくて困っている...。」「とにかく高精度に加工してほしい!」こうしたお悩みに、精密部品加工センター.comはお応えいたします。精密部品の設計・加工にお困りの方は、まずはお気軽に当社までご連絡ください。