マシニングセンタでタップ加工をするためのポイント

今回のコラム記事では、マシニングセンタでタップ加工をするためのポイントについてタップの選定・ワークの固定・クーラントの視点からご説明を致します。その他にもタップ加工とは?タップ加工の手順といった基礎的な知識についても解説をしておりますので、ご一読ください。

マシニングセンタとは?

マシニングセンタは、数値制御(NC(Numerical machining))によって切削工具の動きをX軸・Y軸・Z軸の3軸の座標値によって定義し、プログラムによって自動で加工をすることができます。また、多数の工具を収納するためのストッカーとそれを自動で取り換える自動交換装置も搭載しております。そのため、マシニングセンタは1台で「切削加工」「中ぐり加工」「穴あけ加工」「ネジ加工」「曲面加工」「平面削り加工」、さらに今回ご紹介する「タップ加工」など様々な加工を行うことができます。

 

タップ加工とは?

タップ加工とは、穴開け加工などによって開けられた穴(下穴)にめねじ(ねじが入る筋)を切る加工のことです。外周にらせん状の溝があり、切れ刃が付いているタップというねじ状の工具を使って行われます。一般的には、ボール盤などの機械にタップを取り付けて加工を行うことが多いですが、タップハンドルを使った手作業での穴開け加工も増えています。

 

タップ加工の手順

次にマシニングセンタでタップ加工を行う際の手順についてご説明を致します。手順は下記4つあり、それぞれについて解説をしていきます。

①センター穴の加工

まず初めに下穴に対して、センター穴の加工をすることで、次工程のドリルの位置決めを行います。この工程が無ければ、ドリルの位置が定まらず暴れてしまう可能性が高まります。センター穴の加工には、センターリング工具と呼ばれる専用の工具を使用します。

②下穴にドリル加工をする

次に下穴にドリル加工を行います。ドリル加工の深さは、タップ加工を行う深さに加えてドリルの先端部分の長さを加えた長さに設定します。また、余裕があればあるほど切りくずの排出性が高まり詰まりにくくなります。

③面取り加工を行う

タップ加工を行った後に面取りをすると、バリでボルトが入らないといった事態が生じる危険性があるため、タップ加工の前工程で面取り加工をします。

④タップ加工を行う

タップ加工を行う際には、タップのサイズやピッチ、精度等も確認をして取り掛かります。

 

マシニングセンタでタップ加工をするための3つのポイント

次に、マシニングセンタでタップ加工をするための3つのポイントについてご説明致します。マシニングセンタでタップ加工をするためのポイントは下記です。

①タップ選定に関するポイント

②ワークの固定に関するポイント

③クーラントに関するポイント

①タップ選定に関するポイント

まず初めにタップ選定に関するポイントをご紹介します。タップを選定する上では、形状・下穴の材質・コーティングが目的の加工に適していることが重要となります。
■形状
タップの形状として代表的な種類をご紹介します。
・ハンドタップ:
ハンドタップは、古くから使用されているタップの形状です。加工の際に切りくずが刃の溝部分に溜まる構造であり深い穴のタップ加工には不向きです。
・ポイントタップ:
ポイントタップにはくぼみがあることが特徴であり、加工の際に切りくずがタップの進行方向に出るという特徴があるため、通り穴の加工に適しています。
・スパイラルタップ
スパイラルタップは、らせん状に溝が切ってあります。切りくずが進行方向とは逆に出るため、止まり穴の加工に適しています。
・ロールタップ
ロールタップは、切りくずが出ないため止まり穴・通り穴どちらにも対応することができます。
タップを選定するうえでは、下穴の形状や素材によって選定の目安があります。詳細は下記URLのページを参考してください。

モノタロウ.“タップ加工の種類と適合材料”
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/031/(参照2021.03.31)

■下穴の材質
材質にはそれぞれ特徴があるため、粘り気、切りくず排出性、熱の発生具合などが大きく変わります。例えば、アルミであれば柔らかく粘り気がある素材であるため、切れ味の高いタップを選定する必要があります。このように下穴の材質に合わせて最適なタップを選定する必要があります。

■コーティング
コーティングの種類としては、高硬度であり、すべりの特性や耐熱性に優れているという事から最も広く使用されているTiNコーティングや、ダイヤモンドコーティング、アルミや銅など柔らかい素材に使用されるCrNコーティング等様々なものがございます。

②ワークの固定に関するポイント

次のポイントは、ワークの固定をしっかりと行うということです。ワークをマシニングテーブルにセッティングしますがこの時に、しっかりと固定できていなければワークがクランプから外れてしまうということが発生します。ワークがクランプから外れることでタップが折れるという危険性が高まりますので注意が必要です。

③クーラントに関するポイント

マシニングセンタでタップ加工をする際に、クーラントがタップと下穴に適度にかかっているか確認する必要があります。クーラントがかかっていなければタップが焼き付いたり、バリ、むしれといった問題が発生する危険性があります。

 

タップ加工でよくあるトラブルと予防する方法

タップ加工時によく起こるトラブルとして、①折損・欠け、②ネジ精度の低下、③むしれ・かじりなどがあります。
そして、これらのトラブルに共通する主な要因として、切りくずの排出性が挙げられます。

切りくずの排出性に影響を与える要因は下記3点です。
①溝の大きさ
溝の幅、深さが広く広がるほど、切りくずを輩出するスペースに余裕があるため、切りくず排出性は高くなる

②ねじれ角
ねじれ角が強いと、切れ刃で発生した切りくずを溝に乗せやすいという点で、切りくず排出性が高くなる傾向にあります。

③切りくずの形状
切りくずが細く短ければ、排出しやすいいい形状とされ、太く長い場合はタップにかみ込む恐れがあり、注意が必要な形状

 

これらの要因を把握し、切りくずの排出性を高めるためにも上記してあるタップ加工のポイントは抑える必要があるのです。
最適な工具の選定、材質との相性などの知識・ノウハウを用いたタップ加工を精密部品加工センター.comを運営する長津製作所ではおこなっております。

 

当社のマシニングセンタのご紹介

続いて、当社が保有しているマシニングセンタをご紹介いたします。

牧野フライス:5軸マシニングセンタ V56i
5軸マシニングセンタ V56i

精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ V56iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、精密部品で多用される高硬度材の加工であっても、高効率かつ高精度に加工することができます。 こちらの5軸マシニングセンタでは、主軸に独自の...

牧野フライス:立形マシニングセンタ V33i
立形マシニングセンタ V33i

精密部品加工センター.comでは、こちらの立形マシニングセンタ V33iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、長時間の加工でも安定した精度で加工することができます。 こちらの立形マシニングセンタでは... >>詳細はこちら

ファナック:5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL
5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL

精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFLを用いて、装置部品等の加工を行っております。 こちらの5軸マシニングセンタは、高精度かつ高効率な加工を実現できるのはもちろんのこと...

牧野フライス:大型横型マシニングセンタ a71
大型横型マシニングセンタ a71

精密部品加工センター.comでは、こちらの大型横形マシニングセンタ a71を用いて、装置部品等の加工を行っております。 a71を用いることで大型で重量のある部品の加工が可能となるため、自動車や産業機械など幅広い業界の部品加工に対応ができます。

 

マシニング加工の加工実績

続いて、当社が実際に加工したマシニング加工による加工実績をご紹介いたします。

加工事例:製品部キャビ駒
製品部キャビ駒

こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分のキャビ駒です。材質はSTAVAX製です。

加工事例:製品部入子①
製品部入子①

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。 当社では、高精度な精密プラスチック用金型の製造を得意としており、その知見やノウハウを活かして、高精度ワイヤーカット部品を提供しております。 ワイヤーカットは、ワイヤー線の太さがφ0.05~0.3mmということもあり、ミクロンレベルという高精度加工が可能な非接触加工方法として知られています。しかし、さらに精度よくワイヤーカット加工をする際には、細かいノウハウが必要となってきます。 >>加工実績の詳細はこちら

加工事例:製品部入子⑤
製品部入子⑤-1

こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分の入れ子です。材質はSTAVAX製です。このような複雑な形状も製作可能です。

加工事例:ヒートシンク
ヒートシンク

こちらは、アルミニウム製のヒートシンクです。旋盤加工とミーリング加工によって加工をいたしました。

加工事例:測定用ブロック
測定用ブロック

こちらは、ABS樹脂製の測定ブロックです。全体と穴開けをミーリング加工によって加工いたしました。

加工事例:ネジ駒
ネジ駒

こちらは、マシニング加工によって製作されたSKD11製のネジ駒です。

マシニング加工のことなら、精密部品加工センターにお任せ!

精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。

また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。 「この部品はどこの会社ならできるのかな...?」「加工するのが難しい材料なんだけど、どこにもお願いできなくて困っている...。」「とにかく高精度に加工してほしい!」こうしたお悩みに、精密部品加工センター.comはお応えいたします。精密部品の設計・加工にお困りの方は、まずはお気軽に当社までご連絡ください。

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