ピンゲージの概要
ピンゲージとは「栓ゲージ」とも呼ばれ、対象物に空いた穴の内側の直径(穴径:あなけい)を測るための器具の総称です。
棒状の形をしており、㎛単位のものから数十㎜まで特定の穴径に合わせた太さがあります。
ピンゲージの種類と特徴
ピンゲージの種類は素材と形状で分類することができ、それぞれ特徴がございます。
ピンゲージの素材としては超硬合金・セラミック・鋼(ステンレス等)の3つが主流です。
それぞれ摩耗性に強いという特徴から素材に採用されており、とりわけセラミック製は腐食・錆・経年変化にも耐性があると言われています。
さらに、形状には「シャンク型」と「ストレート型」があります。
「ストレート型」は文字通りストレートな棒状をしており、コストが安価な特徴があります。
その一方、「シャンク型」はピンゲージの根本に柱状の部品であるシャンクが付いているものです。シャンク部を持つことで素手で測定ができるため、ゲージに汚れが付かないことが特徴です。製品によってはシャンクにゲージのサイズが書かれており、管理が容易な製品もあります。
使用用途
今回は、Φ5.00±0.01の要求規格がある穴径に対して、Φ0.01単位のピンゲージを使用して穴径評価を行う場合を想定して解説いたします。このケースにて穴径の許容範囲は、「Φ4.99」から「Φ5.01」となります。
測定評価方法
Φ0.01単位のピンゲージを使用して穴径評価を行う場合
・Φ4.99のピンゲージが通らない場合:要求規格の下限を下回る評価となります。
・Φ4.99、Φ5.00のピンゲージが通り、Φ5.01のピンゲージが通らない場合:要求規格内にあるものと考えます。
・Φ5.01のピンゲージが通る場合:要求規格の上限を上回る評価となります。
(今回対象の穴の出来栄えについて真円度、円筒度を考慮していません)
合否の判定方法
特定の製品穴の評価に対して、要求規格を満足する「通り用ピンゲージ」と「止まり用ピンゲージ」を用意し、合否判定を行う場合がございます。
この場合ピンゲージ径は、「通り用ピンゲージ」<「止まり用ピンゲージ」となり、
「通り用ピンゲージ」が通り、「止まり用ピンゲージ」が通らない ことで、穴の合格判定を得ることができます。
「通り用ピンゲージ」が止まる場合は下限を下回りNG評価。「止まり用ピンゲージ」が通る場合は上限を上回りNG評価。となります。
本項では、穴を評価するピンゲージについて解説いたしましたが、外径の評価を目的とした、リングゲージもございます。
ピンゲージ・リングゲージのいづれにつきましても当社では、ご要望のご評価に即したゲージの製作実績がございます。
ピンゲージの製品加工事例
我が社では、穴の内径を測るピンゲージの加工実績がございます。
今回は、その中の製品事例を2点ご紹介いたします。
内径測定用ピンゲージ①

こちらはステンレス製のピンゲージで、アルミや銅などの非鉄金属部品や樹脂部品の内径を測定するための高精度ゲージです。
温度変化による寸法誤差を考慮し、研磨・熱処理により仕上げを行い特注で製作いたしました。
内径測定用ピンゲージ②

こちらはSTAVAXというステンレス鋼を使い作成したピンゲージです。
この事例では、お客様から「(計測対象となる)個々の製品でサイズが異なるため調達が難しい」というお問い合わせいただいておりました。
その他の製品加工事例
その他にも我が社でピンゲージを加工した実績がございます。以下のページからご確認ください。
ピンゲージを加工する際のポイント
ピンゲージを加工する際には「真円度」「面精度」「円筒度」が重要となります。
また、数ミクロン単位の精度を実現するためには研磨の取りしろ(加工する際に目的のサイズへ加工するために削る部分の長さを指す)を可能な限り少なくし、研磨時に熱が発生しない温度管理も大切となります。
仕上げの際には、外周面に凹凸がない厚みに整える高い面粗さもポイントです。
組立治具の製作のことなら、精密部品加工センターにお任せ!
当社では、今回ご紹介した高精度の組立治具のようなケースでも様々な加工手段を用いて製品を製作いたしますので、是非お問い合わせください。
当サイト、精密部品加工センター.comを運営している株式会社長津製作所では、精密治具部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。
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