アルミ系材料をワイヤーカット加工する際のポイント

製品駒

ワイヤーカット加工では、理論上では導電性がある材料であればどんな金属材料でも加工可能というのが大きな特長です。しかし、材料ごとに効率的な加工条件というものはあります。特にアルミ系材料の加工の際は、特に注意が必要とされています。

ここでは、材質ごとにおけるワイヤーカットの加工条件について、まとめて解説いたします!

ワイヤーカットとは?

ワイヤーカットとは、真鍮などのワイヤー線に電流を流して加工物を溶融させながら切断する加工方法です。ワイヤーカットの特長は主に3つで、① 導電性のある材料であれば加工可能、② 高精度加工が可能、③テーパー加工も可能 という特長があります。

>>ワイヤーカットとは?原理・仕組みから特徴まで、まとめて解説!

 

一方ワイヤーカットでは、導電性がある材料であればどんな金属材料でも加工可能というメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。

【デメリット】
・加工速度が遅く、量産に不向き
・導電しない材料は加工できない
・底部分の加工ができない
・水平方向の加工ができない

>>ワイヤーカットのメリット・デメリットについて

 

ワイヤーカットでよく加工する材料

当社がワイヤーカットで頻繁に加工する材料としては、主に以下のような材料です。

・STAVAX(SUS)
・PD613
・DH2F

このように、SUS系材料金型用鋼といった、比較的硬く加工がしづらい難削材が多くなっています。切削加工の場合は、薄板の切断や、超硬材料の加工は非常に困難とされています。一方ワイヤーカットは、加工時に局所的に発生する6000~7000度もの高温によって加工する方法です。そのため、薄板から200mm以上の厚みのある材料まで、材料の硬さに関係なく加工することが出来るのです。

一方、ワイヤーカットはアルミ系の材料の加工は非常に困難であり、SUS系材料や金型材料とは異なる加工条件が求められます。

 

アルミ系材料のワイヤーカット加工が困難な理由

では、なぜアルミ系材料のワイヤーカットは困難なのでしょうか。それは、アルミニウムを加工する際にワイヤーの断線が発生しやすいためです。

アルミニウムは通電性が良く、活性な金属として知られています。そのため、酸素との結合力が非常に強く、ただアルミニウムを大気中に放置しておくだけでも、約1nmの非常に薄い酸化被膜によって表面が覆われ、一定程度の耐食性を持つのがアルミニウムの特徴です。

また、さらに強固な酸化皮膜を得るために、アルミニウムを陽極として電解処理をするアルマイト処理があります。このアルマイト処理では、アルミニウム表面に活性な酸素が発生し、アルミニウムと反応して酸化アルミニウム(アルマイト)となり、これが次第に成長していくことで人工的な酸化皮膜を生成されます。

このアルマイト処理と同様の現象がワイヤーカット中にも発生しているのですが、アルマイト酸化皮膜は絶縁皮膜のため、放電加工を妨げてしまいます。そのため、アルミニウムを加工する際は、この酸化皮膜も加工するほどの高負荷がワイヤーにかかってしまうため、結果としてスパークが起こりやすく、特に加工開始時に断線しやすくなってしまうのです。

また、加工中の送り速度が高いと、ワイヤーへの加工負荷が高くなってしまうため、同様にワイヤーの断線が発生しやすくなります。

 

アルミ系材料をワイヤーカット加工する際のポイント

そのため、アルミ系材料をワイヤーカット加工する際は、アルミニウム表面に厚いアルマイト酸化皮膜が発生しないように、またワイヤーに高負荷がかからないように、加工条件を設定する必要があります。

適切な加工条件を設定することで、アルミニウム表面に厚い絶縁皮膜が発生するのを抑えることができ、鉄系材料よりも2倍ほどの加工スピードで加工することもできます。

 

ワイヤーカットの加工実績

続いて、当社が実際に加工したワイヤーカット加工による加工実績をご紹介いたします。

 

加工事例:精密機械用製品部キャビ駒
製品部キャビ駒

こちらは、STAVAX製の金型製品部品のキャビ駒です。サイズは80×120×40で、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工を行って製作いたしました。このようなキャビ駒を加工する際は、焼入れ鋼のワークではありますが、切削加工・放電加工各々の特色を活かし、精度と短納期の両立ができる製作方法を行っております。

>>加工実績の詳細はこちら

加工事例:金型業界向け可動コア
可動コア

こちらは、HPM31製の金型業界向け可動コアです。 加工方法としては、ワイヤーカット、研削加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。

加工事例:製品部入子①
製品部入子①

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。

加工事例:製品部入子②
製品部入子②

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、マシニングセンタといった複合加工を行っています。

加工事例:製品部入子④
製品部入子④

こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、超精密マシニング加工といった複合加工を行っています。

加工事例:金型部品⑤
金型部品⑤

こちらは、ワイヤーカットによって製作されたDH2F製の金型部品です。

ワイヤーカットなら、精密部品加工センターにお任せ!

精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。
また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。

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