ステンレス(SUS)のマシニング加工におけるポイント

フランジ

ステンレスとは、鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含有した合金です。ステンレスの特徴は、「強度が高い」「耐食性に優れている」「耐熱性に優れている」の3点です。その反面、特性として、熱伝導率が低い性質を持つため、切削が難しい素材です。

ここでは、難削材の一つであるステンレスのマシニング加工についてご紹介致します!

マシニング加工とは?

マシニング加工とは、マシニングセンタを使用し、材料を切削する機械加工のことを指します。マシニングセンタでは、自動で切削工具の交換機能を有しており、穴あけや平面削りなどの切削加工を1台で行うことができます。マシニングセンタは大きく5つの機能に分かれており、機械を自動的に制御する「NC装置」、マシニングセンタの底辺を支える「ベッド」、ベッドから垂直に伸びた柱である「コラム」、回転運動を与える「主軸」、角度を割り出す「インデックステーブル」があります。

マシニングセンタでは主にフライス加工、中ぐり、穴開け、ネジ切などの加工をすることができます。

今回は熱伝導率が低い性質を持つため、切削が難しい素材であるステンレスについてご紹介致します。

マシニング加工について詳しく知りたいという方は、下記技術コラムをご確認下さい。

>>マシニングセンタとは?マシニング加工の特徴やポイントまで解説!はこちら

 

ステンレスとは?

ステンレスとは、鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含有した合金です。耐食性を維持するために、ステンレスの表面には不働態皮膜と呼ばれる厚さ数㎚の酸化膜を形成しており、主にクロムに酸素と水酸基が結合した非常に緻密で密着性の高い膜で覆われています。しかし、使用環境によっては孔食、すきま腐食、応力腐食割れ等の局部腐食を引き起こす場合がございますので、注意が必要です。

ステンレスの特徴は、「強度が高い」「耐食性に優れている」「耐熱性に優れている」の3点です。ステンレスは種類にもよりますが、鉄に炭素を加えているため鉄・その他金属と比較をすると強度が高くなります。さらに、クロムが含有しているため、酸化反応を防ぐ役割を果たします。そして、500℃程度までであれば、ステンレスは強度が減衰することもありません。

>>ステンレスの精密部品加工とは?はこちら

>>ステンレス鋼の加工事例はこちら

 

ステンレスの種類とは?

ステンレスにも合金の比率や熱処理によって様々な種類があり、金属組織的に分類すると、マルテンサイト系フェライト系オーステナイト系の3種類に分類することが出来ます。

 

①マルテンサイト系ステンレス

マルテンサイト系ステンレスは、クロムを13%含有するSUS410やSTAVAXが代表的な鋼種です。特徴と致しましては、焼き入れと焼き戻しの工程を行いますので、高い強度と耐摩耗性に優れております。加工時には柔らかくて加工しやすく、部品として使う時には硬い状態で使用できる点として、刃物や機械のブレード部品などに用いられています。

 

②フェライト系ステンレス

フェライト系ステンレスは、クロムを18%含有するSUS430が代表的な鋼種です。特徴と致しましては、強度や硬度や耐食性はマルテンサイト系とオーステナイト系の中間程度ですが、比較的に安価な点で自動車部品や建物の内装などに使用されることが多いです

 

③オーステナイト系ステンレス

オーステナイト系ステンレスは、クロムを18%かつニッケル8%含有するSUS304が代表的な鋼種です。特徴と致しましては、耐食性が高く、溶接加工に優れています。低温・高温環境でも他のステンレスほど強度低下は少ない性質を持っているため、機械部品にも幅広く使用されています。

 

ステンレスのマシニング加工における問題点

ステンレスは熱伝導率が低い素材のために、マシニング加工に発生する高熱が切粉に伝わりにくく、低温の切粉が加工品に溶着するために、工具の摩耗が進行します。また、行き場を無くした熱は親和性の高い切削工具へと溜まってしまい、切り粉が刃物に溶着しやすいためチッピングが発生します。これらのように、ステンレスの要因が切削面精度の低下並び工具寿命の短命化の要因となっております。

 

ステンレスのマシニング加工におけるポイント

工具選定のポイント

加工に使用する工具は、耐熱性や耐摩耗性を優れたコーティング処理を施した超硬合金製の切削工具が推奨されています。そのため、切削抵抗や切削熱を分散させるためにねじれが強く鋭利な刃や剛性を確保しつつ1枚の刃にかかる負担を減らす目的で多刃も効果的ですが、切り屑排出性は落ちるので、ネジレ角度を途中で変えることや刃先の選定等で対策をする必要があります。

加工条件におけるポイント

ステンレスのマシニング加工では、水溶性のクーラントの使用が重要となります。先述のようにステンレスは熱伝導率が低いために、熱が留まることにより精度や工具に影響を与えます。水溶性のクーラントは冷却を目的に切削工具の温度を下げる役割を担っております。その結果、工作摩擦を減少や熱膨張を減らし、加工精度の維持に役立ちます。

>>マシニング加工におけるクーラント選定のポイントはこちら

 

今回はステンレスのマシニング加工のポイントについてご紹介をさせていただきました。しかし、マシニング加工では材質の特徴を理解し、切削条件に合った設定をする必要があります。他の材質についてのマシニング加工のポイントについては下記をご覧ください。

>>超硬のマシニング加工におけるポイントについてはこちら

>>銅のマシニング加工におけるポイントについてはこちら

>>アルミ合金のマシニング加工におけるポイントについてはこちら

 

当社のマシニングセンタのご紹介

続いて、当社が保有しているマシニングセンタをご紹介いたします。

牧野フライス:5軸マシニングセンタ V56i
5軸マシニングセンタ V56i

精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ V56iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、精密部品で多用される高硬度材の加工であっても、高効率かつ高精度に加工することができます。 こちらの5軸マシニングセンタでは、主軸に独自の...

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牧野フライス:立形マシニングセンタ V33i
立形マシニングセンタ V33i

精密部品加工センター.comでは、こちらの立形マシニングセンタ V33iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、長時間の加工でも安定した精度で加工することができます。 こちらの立形マシニングセンタでは...

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ファナック:5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL
5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL

精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFLを用いて、装置部品等の加工を行っております。 こちらの5軸マシニングセンタは、高精度かつ高効率な加工を実現できるのはもちろんのこと...

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牧野フライス:大型横型マシニングセンタ a71
大型横型マシニングセンタ a71

精密部品加工センター.comでは、こちらの大型横形マシニングセンタ a71を用いて、装置部品等の加工を行っております。 a71を用いることで大型で重量のある部品の加工が可能となるため、自動車や産業機械など幅広い業界の部品加工に対応ができます。

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マシニング加工の加工実績

続いて、当社が実際に加工したマシニング加工による加工実績をご紹介いたします。

加工事例:製品部入子
製品部入子①

こちらは、ワイヤーカット・放電加工・マシニングセンタ・熱処理で製作された、金型製品部分の入り子です。材質はステンレス鋼とSTAVAX製です。

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加工事例:製品部入子
製品部入子②

こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・熱処理で製作された、金型製品部分の入り子です。材質はステンレス鋼とSTAVAX製です。

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加工事例:製品部丸駒
製品部スライド駒①

こちらは、ワイヤーカット・マシニングセンタ・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部のスライドコアです。材質はSTAVAX製です。

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加工事例:製品部丸駒
製品部丸駒⑥

こちらは、旋盤加工・マシニング加工・ワイヤーカット・放電加工の複合加工で製作された、金型製品部分の入れ子です。材質はSTAVAX製です。

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加工事例:スピン形状部品
スピン形状 部品②

こちらは、マシニングセンタによって加工された、スピン形状の部品です。材質はSTAVAX製です。ボタン表面のデザイン部分の金型部品に使用されます。

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加工事例:光学業界向けリフレクター
リフレクター形状 部品①-2

こちらは、マシニングセンタによって加工された、リフレクター形状の部品です。材質はSTAVAX製です。パターン面全域で均一な表面状態が求められ、光学業界向けに使用されます。

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マシニング加工のことなら、精密部品加工センターにお任せ!

精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。 また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。 「この部品はどこの会社ならできるのかな...?」「加工するのが難しい材料なんだけど、どこにもお願いできなくて困っている...。」「とにかく高精度に加工してほしい!」こうしたお悩みに、精密部品加工センター.comはお応えいたします。精密部品の設計・加工にお困りの方は、まずはお気軽に当社までご連絡ください。

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