マシニング加工では様々な要素が精密部品加工の上で作用してきます。主に工作機械(マシニングセンタ)、工具、ホルダ、クーラントによって、加工条件や精度などが大きく変化します。その中でも、特にワークの材質は、加工条件や工具選定に大きく寄与します。
ここでは、マシニング加工における材質別の加工ポイントをまとめてご紹介いたします。
マシニング加工とは?
マシニングセンタによる加工方法をマシニング加工と一般的に言いますが、マシニング加工では様々な要素が精密部品加工の上で作用してきます。主に工作機械(マシニングセンタ)、工具、ホルダ、クーラントによって、加工条件や精度などが大きく変化します。
マシニング加工によって加工される製品は、自動車産業ではエンジン部分やボディ部など、産業機器業界では様々な機械の部品に、金型業界では金型ブロックの加工など、多岐にわたる分野に使用されています。
>>マシニングセンタとは?マシニング加工の特徴やポイントまで解説!
マシニング加工に適している材質とは?
マシニング加工は汎用性の高い加工方法として製品加工に採用されておりますが、切削素材として適している材質・適していない材質は存在します。
マシニング加工にて使用されている材質は一般的には切削のしやすい鉄、銅、アルミなどの金属やそれらを含めた合金を使用することが多いです。
一方、切削が難しい素材としては「高硬度素材」や「粘性素材」があげられます。
「高硬度素材」は刃物が入りづらい故に、摩耗してしまう可能性が大きく切削することは難しく、「粘性素材」は削った素材が刃物に付着することで、切れ味の劣化を招いてしまいます。
さらに、マシニング加工は切りくずを多く発生させてしまうため、金・銀など高価な素材の加工には適しておりません。
しかし、ダイアモンドに次ぐ硬度を持つCBN(Cubic Boron Nitride)や超硬合金を使用した硬度の高い切削工具の選定やクーラント使用など、加工条件次第では加工が難しいガラスや樹脂、セラミックなどの脆性の高い材料でも加工することは出来ます。
マシニング加工における材質別の加工ポイント
マシニング加工では様々な要素が作用するというのは上記の通りですが、ワークの材質も大きく寄与します。ここでは、マシニング加工における材質別の加工ポイントをまとめてご紹介いたします。
ステンレス(SUS)のマシニング加工におけるポイント
ステンレスとは、鉄を主成分とし、クロムを10.5%以上含有した合金です。ステンレスの特徴は、「強度が高い」「耐食性に優れている」「耐熱性に優れている」の3点です。その反面、特性として、熱伝導率が低い性質を持つため、切削が難しい素材です。
ステンレスは熱伝導率が低い素材のために、マシニング加工に発生する高熱が切粉に伝わりにくく、低温の切粉が加工品に溶着するために、工具の摩耗が進行します。また、行き場を無くした熱は親和性の高い切削工具へと溜まってしまい、切り粉が刃物に溶着しやすいためチッピングが発生します。これらのように、ステンレスの要因が切削面精度の低下並び工具寿命の短命化の要因となってしまいます。
そのため、ステンレスのマシニング加工においては、①耐熱性や耐摩耗性を優れたコーティング処理を施した超硬合金製の切削工具を使用すること、②水溶性のクーラントを使用することがポイントとなります。
アルミ合金のマシニング加工におけるポイント
アルミ合金はアルミニウムを主成分とする合金のことです。アルミニウムの特徴としては、軽量・熱伝導率が高い・加工性が高い等といった特徴が挙げられますが、純粋なアルミニウムはやわらかいため高度面において問題があります。そこで、他元素を混ぜてアルミ合金にすることで強度等の特性を向上させています。
アルミ合金のマシニング加工で問題として挙げられるのは、構成刃先が生じることです。構成刃先が生じることの問題点としては、工具の刃先が欠けてしまうこと、それに伴って加工精度が低下してしまうこと等が挙げられます。
アルミ合金のマシニング加工において、構成刃先を生じさせないためには、①材質や形状、工具表面に注意して工具を選定すること、②加工条件について適切に設定する、という2つのポイントがございます。
銅のマシニング加工におけるポイント
銅は、金属の中でも熱伝導性・電導性・加工性・展延性に優れているため、情報通信や精密機器などの先端産業の部品として多用されています。さらに、柔らかい性質を持つため、切削効率がいい素材として知られています。
銅は柔らかい性質を持っているために、一般的にマシニング加工に優れていますが、粘り気が強くバリが出やすいです。また、溶解温度も低いため、刃先に溶着しやすい点もあります。 そして、延性に富んでいる点から切れ味の悪い工具で切削すると仕上げ面粗さ精度の低下や加工変形を引き起こすために注意が必要です。
そのため、銅のマシニング加工をする際は、①超硬素材のみの刃先を研磨した、すくい角の大きいシャープな刃先を持つ切削工具を使用する、②油性のクーラントを使用する、という2点が重要なポイントとなります。
超鋼のマシニング加工におけるポイント
超硬とは、炭化タングステンや炭化チタン等の硬質な金属炭化物粉末とコバルトやニッケル等の鉄系金属粉末で焼結して作られる人口合金で、ダイヤモンドに次ぐ硬度を誇ります。
しかし、硬度が高い反面靭性が劣るため、衝撃に弱く、無理な力がかかった際には折れたり、割れたり、欠けたりという欠点もあります。また、超硬合金の切削を超硬合金工具で行う場合、コバルトの含有量に注意が必要です。コバルトの含有量が少ないと硬度が増し、多いと硬度低下して切削が容易になります。そのため、切削の際はコバルトの含有量に着目することが重要です。
超硬のマシニング加工の際は、①刃先の強度を上げるコーディング処理が施されている、または刃数が多く工具断面積を最大限に確保されているエンドミルを選定する、②送り速度に注意する、という2点が重要となります。
当社のマシニングセンタのご紹介
続いて、当社が保有しているマシニングセンタをご紹介いたします。
牧野フライス:5軸マシニングセンタ V56i
精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ V56iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、精密部品で多用される高硬度材の加工であっても、高効率かつ高精度に加工することができます。 こちらの5軸マシニングセンタでは、主軸に独自の...
牧野フライス:立形マシニングセンタ V33i
精密部品加工センター.comでは、こちらの立形マシニングセンタ V33iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、長時間の加工でも安定した精度で加工することができます。 こちらの立形マシニングセンタでは...
ファナック:5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL
精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFLを用いて、装置部品等の加工を行っております。 こちらの5軸マシニングセンタは、高精度かつ高効率な加工を実現できるのはもちろんのこと...
牧野フライス:大型横型マシニングセンタ a71
精密部品加工センター.comでは、こちらの大型横形マシニングセンタ a71を用いて、装置部品等の加工を行っております。 a71を用いることで大型で重量のある部品の加工が可能となるため、自動車や産業機械など幅広い業界の部品加工に対応ができます。
マシニング加工の加工実績
続いて、当社が実際に加工したマシニング加工による加工実績をご紹介いたします。
加工事例:ヒートシンク
こちらは、アルミニウム製のヒートシンクです。旋盤加工とミーリング加工によって加工をいたしました。
加工事例:測定用ブロック
こちらは、ABS樹脂製の測定ブロックです。全体と穴開けをミーリング加工によって加工いたしました。
加工事例:ネジ駒
こちらは、マシニング加工によって製作されたSKD11製のネジ駒です。
マシニング加工のことなら、精密部品加工センターにお任せ!
精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。 また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。
「この部品はどこの会社ならできるのかな...?」「加工するのが難しい材料なんだけど、どこにもお願いできなくて困っている...。」「とにかく高精度に加工してほしい!」こうしたお悩みに、精密部品加工センター.comはお応えいたします。精密部品の設計・加工にお困りの方は、まずはお気軽に当社までご連絡ください。