マシニングセンタとは、自動で切削工具の交換機能を有しており、穴あけや平面削りなどの切削加工を1台で行うことができる機械です。そんなマシニングセンタにはいくつも種類があり、他の工作機械とよく混同される機械としても知られています。
ここでは、マシニングセンタに関する特徴から、その種類、間違えられやすい他の工作機械、さらにはマシニングセンタによる加工の特徴まで、まとめて解説いたします!
マシニングセンタとは?
マシニングセンタとは、自動で切削工具の交換機能を有しており、穴あけや平面削りなどの切削加工を1台で行うことができる機械です。マシニングセンタは大きく5つの機能に分かれており、機械を自動的に制御する「NC装置」、マシニングセンタの底辺を支える「ベッド」、ベッドから垂直に伸びた柱である「コラム」、回転運動を与える「主軸」、角度を割り出す「インデックステーブル」があります。
マシニングセンタでは主にフライス加工、中ぐり、穴開け、ネジ切などの加工をすることができます。
マシニングセンタの種類について
マシニングセンタには、縦型マシニングセンタ、横型マシニングセンタ、門型マシニング、5軸マシニングなどの種類があります。
縦型マシニングセンタ
縦型(立型)マシニングセンタは、切削工具を取り付ける回転軸が垂直方向についており、ワークを上から加工します。縦型マシニングセンタを他のマシニングセンタと比較をした際の特徴・メリットとしては、セッティングが容易であることや、治具が使いやすいこと、さらに加工精度優れていることが挙げられます。また、他のマシニングセンタよりも省スペースで加工できるため、小さな町工場であっても設置面積を抑えて導入することができます。
横型マシニングセンタ
横型マシニングセンタは、切削工具(刃物)が地面に対して水平になっており、加工物を水平に切削加工することができます。横型マシニングセンタの特徴としては、手動でワークの加工面を変更することがないため、高い加工精度を出すことができる点、大きなワークの加工を行う際に使用される点、切りくずの排出性が優れている点などが挙げられます。
門型マシニングセンタ
門型マシニングセンタは、機械自体が門の形をしている、比較的大型のマシニングセンタです。門型マシニングセンタでは、ワークが設置されるテーブルが奥行き方向に移動して、門の部分で加工がされます。門型マシニングセンタでは、大型のワークや重量があり通常のチャックでは固定できないような部品加工のために使用されます。
軸数によるマシニングセンタの分類
軸数による分類としては、3,4,5の軸があります。
3軸:一番一般的なマシニングセンタです。通常のマシニングセンタの構造は、X軸、Y軸、Z軸という3軸になります。ただし3軸マシニングセンタの場合は、ワークを固定して加工をするため、一定の向きでしか加工することができません。
4軸:ワークの回転軸が1軸増えるため、その回転方向で加工軸が増えます。
5軸:回転軸が3軸からワークのB,C軸の2軸が増えるため、取り付け面以外の面に関しては、工具が干渉しなければ加工することができます。また、作業者がワークを回転させる必要もなくなるため、効率良く加工することができるようになります。
その他の特徴的なマシニングセンタ
その他にも、下記のような機能が搭載されたマシニングセンタもございます。
・ワークチェンジャー搭載:ワークを自動で交換するワークチェンジャーが搭載されたマシニングセンタです。ツールだけでなくワークも自動交換されるため、非常に効率良く加工することができます。
・ロボット付きマシニングセンタ:ワークの交換だけでなく搬送を行うのがロボットの役割です。作業者の代わりとなるため、人件費の削減に大きく寄与します。
マシニングセンタの特徴とは?
マシニングセンタの大きな特徴としては、加工プログラムに沿って工具を自動交換することができる、自動工具交換装置(Automatic Tool Changer:ATC)が搭載されていることです。ちなみにNCはNumerical Controlの略で、数値制御を意味します。
マシニングセンタの他の工作機械との違いとは?
マシニングセンタは、他の工作機械との違いが特に分かりにくい工作機械として知られています。しかし、部品加工をする上では、最適な工作機械を選定する必要があります。 続いてマシニングセンタと他の工作機械の違いを説明していきます。
旋盤との違い
マシニングセンタと旋盤の違いは、マシニングセンタは工具が回転するのに対して、旋盤はワークが回転する点です。
旋盤加工は、ワークを回転させバイトと呼ばれる切削工具にあてがうことで切削を行う加工です。回転による加工であるため、主に丸棒を材料とする加工に使用されることが多くなります。
マシニングセンタは、工具が回転するため、ワークが同心円状である必要はなくなります。ただし、同真円度が高い加工を行う場合は、旋盤の方が高精度な部品加工を行うことができます。
タッピングセンタとの違い
マシニングセンタは一般的な切削加工を行う際に使用されるのに対し、タッピングセンタは穴開け加工の中でもタッピング加工に特化しており、ネジ製作を得意とする工作機械です。
しかし、タッピング加工の機能は、一部のマシニングセンタにも搭載されております。機械全般的な精度面においてはマシニングセンタの方が優れているため、工程を全体最適で考えた上で、ネジ切りにタッピングセンタを用いるべきか、マシニングセンタを用いるべきかを検討する必要があります。
ジグボーラーとの違い
機能面においては、ジグボーラーとマシニングセンタにはそこまで大きな違いがありませんが、ジグボーラーは垂直方向の加工精度が優れています。
また、マシニングセンタは一般的な切削加工を行う際に使用され量産品製作に適しているのに対して、ジグボーラーは仕上げを行う際に使用され、単品製作に適している点が大きな違いとして挙げられます。
ジグボーラーは扱いが難しく熟練技術者を擁している企業が保有する機械です。そのため、ジグボーラーを保有している企業は、仕上げ精度がよい精密加工を少量でも対応可能と言うことができます。
NC工作機械との違い
NCフライスとマシニングセンタの違いは、工具交換があるかないかという点です。
NCフライスでは工具交換ができないため、複数工程にまたがる加工を行う際はその都度作業を停止し工具の交換をする必要があります。それに対して、マシニングセンタではツールチェンジャーが搭載されているため作業効率が良く生産性も優れています。
NC制御機能が搭載されている点に関しては同じですが、処理速度などの機能に関してはマシニングセンタの方が優れています。
複合加工機との違い
マシニングセンタと複合加工機の違いについては、簡単に説明すると、
「NC旋盤+マシニングセンタ=複合加工機」
となります。そのため、どちらの要素が強いのかによって特徴が若干異なります。
マシニング加工の構成要素について
マシニングセンタによる加工方法をマシニング加工と一般的に言いますが、マシニング加工では様々な要素が精密部品加工の上で作用してきます。下記では、その代表的なマシニング加工における構成要素について紹介しています。
マシニング加工における工具の種類
マシニングセンタの切削工具の素材としては、主にハイス、超硬、CBN、サーメット、PCDなどが使われています。これらは、ワークの材質にあわせて最適な工具材質を選定する必要があります。
また、形状としてはスクエア、ボール、テーパー、ラジアスなどがあります。こちらも、ワークの形状に合わせて最適な工具形状を選定する必要があります。
マシニング加工はワークに接触しながら加工する機械加工の一種であるため、工具摩耗を考慮して加工を行う必要があります。
マシニング加工におけるホルダの種類
マシニングセンタにおいて、ホルダは主軸に取り付けることで工具を保持する役割を担うものです。ホルダを使用することで、マシニングセンタの機械本体や加工方法、工具を変更することなく寿命を延ばすことができます。
マシニングセンタのホルダの種類には、コレットタイプと焼き嵌めタイプの主に2種類あります。
コレットタイプは、コレットをレンチで緩めたり締めたりすることができます。また、コレットを交換することで工具のサイズを調整できる仕様になっています、
焼き嵌めタイプは、高周波の熱を加えて、ツールの膨張冷却によって工具のセッティングをする仕様になっています。コレットタイプと比較をすると作業性は楽で、再現性が高く、高精度を実現することができます。
マシニング加工におけるクーラントの種類
クーラントは、切削行う際に出る切りくずの排出やワークの冷却等を目的として使用されます。当社では、主に①エアーブロー、②オイルミスト、③水溶性クーラント、④油性クーラントの4種類を使い分けております。
エアーブローは、空気で切りくずを除去する方法です。オイルミストは、加工油をミスト状に噴霧する方法です。また液体クーラントでは、液体を加工域にかけることで切りくずを流していきます。液体クーラントの成分により、水溶性と油性で分けることができます。
マシニング加工のクーラントには、このように多くの種類がございます。また、クーラント自体にもメーカーの種類による違いがあるため、加工条件や製品の用途にあわせて最適なクーラントや方法を選定する必要があります。
マシニング加工の用途
マシニング加工による製品は、例えば自動車産業ではエンジン部分やボディ部など、産業機器業界では様々な機械の部品に、金型業界では金型ブロックの加工など、多岐にわたる分野に使用されています。
これらは、全て精密な部品加工が必要となる分野のため、ただ高精度なマシニングセンタを保有することだけでなく、高精度なマシニング加工のノウハウを持っていることが重要です。そのため、マシニング加工業者の選定に悩んでいる方は、マシニングセンタの保有状況だけでなく、マシニング加工の実績も踏まえた上でサプライヤーをきちんと選定する必要があります。
当社のマシニングセンタのご紹介
続いて、当社が保有しているマシニングセンタをご紹介いたします。
牧野フライス:5軸マシニングセンタ V56i
精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ V56iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、精密部品で多用される高硬度材の加工であっても、高効率かつ高精度に加工することができます。 こちらの5軸マシニングセンタでは、主軸に独自の...
牧野フライス:立形マシニングセンタ V33i
精密部品加工センター.comでは、こちらの立形マシニングセンタ V33iを用いて、装置部品等の加工を行っております。 独自の機械構造によって、長時間の加工でも安定した精度で加工することができます。 こちらの立形マシニングセンタでは...
ファナック:5軸マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFL
精密部品加工センター.comでは、こちらの5軸立形マシニングセンタ ROBODRILL α-T21IFLを用いて、装置部品等の加工を行っております。 こちらの5軸マシニングセンタは、高精度かつ高効率な加工を実現できるのはもちろんのこと...
牧野フライス:大型横型マシニングセンタ a71
精密部品加工センター.comでは、こちらの大型横形マシニングセンタ a71を用いて、装置部品等の加工を行っております。 a71を用いることで大型で重量のある部品の加工が可能となるため、自動車や産業機械など幅広い業界の部品加工に対応ができます。
マシニング加工の加工実績
続いて、当社が実際に加工したマシニング加工による加工実績をご紹介いたします。
加工事例:ヒートシンク
こちらは、アルミニウム製のヒートシンクです。旋盤加工とミーリング加工によって加工をいたしました。
加工事例:測定用ブロック
こちらは、ABS樹脂製の測定ブロックです。全体と穴開けをミーリング加工によって加工いたしました。
加工事例:ネジ駒
こちらは、マシニング加工によって製作されたSKD11製のネジ駒です。
マシニング加工のことなら、精密部品加工センターにお任せ!
精密部品加工センター.comを運営する株式会社長津製作所では、精密部品を中心とした様々な部品加工を多くの業界に向けて行っております。ワイヤー放電加工機から型彫放電加工機、研削加工機、マシニングセンタなど、多岐にわたる工作機械を保有しているため、あらゆる精密部品加工に対応しております。 また、ホログラム光学素子用金型などの超精密金型の設計・製作実績も多数ございます。 さらに当社では、当社工場にとどまらず、大田区や燕三条など、国内でも有数の加工集積地に幅広い加工ネットワークを築いております。これらの加工ネットワークを駆使することで、どこの会社ならできるかわからないような部品加工にも対応いたします。
「この部品はどこの会社ならできるのかな...?」「加工するのが難しい材料なんだけど、どこにもお願いできなくて困っている...。」「とにかく高精度に加工してほしい!」こうしたお悩みに、精密部品加工センター.comはお応えいたします。精密部品の設計・加工にお困りの方は、まずはお気軽に当社までご連絡ください。