放電による非接触加工であるワイヤーカットは、同様の放電加工である型彫放電加工と頻繁に比較をされます。その違いは非常に明確で、加工物の形状に合わせて適切に使い分けることが大切です。
ここでは、同様の放電加工であるワイヤーカットと型彫放電加工の違いについて解説いたします!
ワイヤーカットとは?
まず、ワイヤーカットについてあらためて説明いたします。
ワイヤーカットとは、正式にはワイヤー放電加工と言われる放電加工の一種で、真鍮などのワイヤー線に電流を流して加工物を溶融させながら切断する加工方法です。ワイヤー線には、主に真鍮製のワイヤー線が使用されますが、タングステンやモリブデン製の電極線もございます。また、ワイヤーカットをするための工作機械を、ワイヤー放電加工機と言います。
ワイヤーカットは一般的には馴染みの少ない加工方法ではありますが、様々な製品の金型部品、家電製品、輸送機部品など、日常生活の中でも使われている製品を製造するために使用されている加工方法でもあります。
また、ワイヤーカットの特徴としては、①導電性のある材料であれば加工可能、②高精度加工が可能、③テーパー加工も可能、などが挙げられます。
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型彫放電加工とは?
続いて型彫放電加工についてです。
型彫放電加工とは、電極の形状をワークに転写する放電加工のことです。型彫放電加工では、銅やグラファイトなどの素材で、あらかじめ彫りたい形状に加工された電極を用います。ワークは油や水などの絶縁性のある加工液に沈めて、電極と材料を向い合せた状態で電極をワークに近づけて放電させ、電極が反転された3次元形状をワークに加工します。
型彫放電加工は一般的には馴染みの少ない加工方法ではありますが、カメラやレンズなどの精密機器、家電製品、輸送機部品など、日常生活の中でも使われている様々な製品を製造するために必要な金型を製造するためには欠かせない加工方法です。
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ワイヤーカットと型彫放電加工の違い
それでは、ワイヤーカットと型彫放電加工の違いについてです。
①加工方法
ワイヤーカットと型彫放電加工の加工方法における違いは、貫通させる必要があるかどうかであり、この違いが形状の自由度に大きく寄与します。
ワイヤーカットでは、一見すると糸鋸のようにワイヤー線自体で金属を切断するように見える切断加工です。糸鋸と同様にワイヤー線が上下につながっており、ワイヤガイドによって上部から供給され、下のワイヤガイドによって回収されていきます。そのため、加工物の端ではなく中央部分から加工を行う際は、細穴放電加工機などを用いてあらかじめ加工物に貫通させたスタート孔を加工する必要があります。
一方、型彫放電加工では、ワイヤーを通すための穴は不要であり、また貫通させて加工させる必要もないため、型彫放電加工では底がある形状、ポケット形状の加工をすることができます。この点がワイヤーカットとの大きな違いです。
型彫放電加工の自由度は、電極次第ではワイヤーカット以上に様々な加工に対応できるため、型彫放電加工は非常に拡張性が高く魅力的な加工方法として知られています。
②電極
ワイヤーカットでは、糸状のワイヤーを電極として使用します。一方型彫放電加工では、彫りたい形状に加工された電極を使用します。そのため、ワイヤーカットでは線状に加工しますが、型彫放電加工では面全体で加工します。
また、電極材料はどちらも銅やタングステンといった材料が使用されます。
③加工物(ワーク)
型彫放電加工では、主に金型部品を製造するために使用されます。具体的には、樹脂金型を中心としたインジェクションモールドに対する凹凸形状の加工が主な応用先です。一方でワイヤーカットでは、金型部品はもちろんのことですが、薄板のプレート形状やブロック形状等であれば直接形状を得ることもできます。そのため、家電製品、輸送機部品など、日常生活の中でも使われている製品を製造するために使用されている加工方法となっています。
型彫放電加工の加工実績
続いて、当社が実際に加工した型彫放電加工による加工実績をご紹介いたします。
加工事例:製品駒
こちらは、SKD11製の製品駒です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。
加工事例:製品部入子①
こちらは、STAVAX製の製品部入子です。 加工方法としては、ワイヤーカット、放電加工、マシニングセンタといった複合加工を行っています。
型彫放電加工なら、精密部品加工センターにお任せ!
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