自動車部品製造装置用治具のコストダウンのポイント

治具とは何か

治具とは加工や組立の際に部品や工具の作業位置を指示・誘導する為に用いる器具のことで、英単語のjigに漢字を当てたものです。

治具は主に機械加工や溶接などに用いられますが、治具を用いることによって加工が容易になります。

治具を使うことで加工後の仕上がり寸法が統一される為、大量生産を行う自動車部品製造装置においても治具は数多く使用されています。治具をコストダウンするときのポイントについてみていきましょう。

自動車部品製造装置の治具とは

自動車には約2~3万個の部品が使われています。

それぞれ自動車部品メーカーがあり、各メーカーがしのぎを削って自動車メーカーに採用されようと努力をしています。そんな状況の中で重要となってくるのが自動車部品の製造装置に使われる治具です。

治具は先ほど説明した通り、機械加工や溶接などに用いられますが、それ以外にも塗装工程や検査工程でも使用されています。

自動車部品を製造する際に、治具は必要不可欠であり、治具の良し悪しが自動車メーカーへの採用の可否を分けるといっても過言ではありません。

他分野の製造装置の治具との違いは何か

自動車部品製造以外の分野でも治具は使用されています。

同じ治具でも自動車部品製造装置で使用される治具は、他分野で使用される治具とはひと味ちがいます。自動車は1日に多ければ1万台以上が生産されますが、約2~3万点の部品を使う自動車メーカーは当然多くの部品在庫を抱えることはできない為、いわゆるジャストインタイム生産を取り入れています。

自動車部品メーカーはその生産方式に応える為に、納期遅延を起こさないことを最優先に考えているのです。当然自動車部品製造装置で使用される治具にも工夫がこらされています。

材料の違い

まずは材料の違いを確認していきます。

先ほど解説した通り、自動車メーカーのジャストインタイム生産に対応する必要がありますので、自動車部品メーカーは納期を最優先に考える傾向があります。

治具が破損してしまい、部品の供給ができなくなることが最悪の事態です。

そのような事態にならない様に、治具には耐久性に優れた材料が選定されることが多くなります。例えば鉄系で考えると、SS400は安くてそこそこの強度がありますが、錆などの問題が発生する為、SUS304などステンレス材が選ばれることが多くなっています。

形状の違い

自動車は短いサイクルでマイナーチェンジが実施されます。自動車部品も同じ様にマイナーチェンジが行なわれますが、その都度自動車部品製造装置の治具も変更が必要でしょうか?

実のところは治具を変更した方が良いのかもしれませんが、治具を変更するのにも当然費用が発生してしまいます。

自動車部品メーカーは費用の発生を最低限に抑える為に治具の形状を工夫して設計しています。マイナーチェンジの際に、簡単な改造で対応できるノウハウが自動車部品メーカーにはあるといえます。

コスト面での違い

自動車部品メーカーと他分野で使用する治具の一番の違いはコスト面です。

自動車部品メーカーは星の数ほどあり、各メーカーはしのぎを削ってコストダウンを目指しています。自動車製造部品製造装置の治具で採用可否が分かれるといっても過言ではない世界です。

その為、治具の設計・製造もシビアにコスト計算して行なわれるのが一般的です。

自動車部品製造装置で使われる主な治具とは

ここからは自動車部品製造装置で使われている治具について解説していきます。治具といっても固定や搬送、溶着や塗装など様々な工程で使用されています。代表的な治具をみていきましょう。

搬送治具

まずは搬送用の治具です。自動車部品は大量生産が基本ですので、コンベアなどの移送装置で搬送されることが一般的です。自動車用シートの製造装置の例をみていきましょう。自動車用シートは製造ラインに作業員が並んで、組み立てていきます。基本的に一人の作業員は1つの作業を行います。いつもバラバラの位置にワークがきたらどうなるでしょうか?作業にもバラつきが生じてしまいますよね。そのような事態にならない様にするのが、搬送治具の役割です。コンベアに搬送治具を取付けして、位置決めを行なうことによって、常に同じ場所にワークがくるようにします。

加工治具

切削などを行う際も治具を使用します。加工治具は工作機械にワークをセットする際に使用するものです。一般的に治具といえば、この加工治具を想像する人が多いのではないでしょうか。

加工治具を使用することで、精度の良いワークの位置決めを毎回再現することが可能となります。大量生産を行う自動車部品製造装置において加工治具は必要不可欠です。加工治具には複数の加工に使用できる汎用治具と、特定の加工物の為に設計・製造をする専用治具があります。

検査治具

治具は自動車部品製造の最終工程である検査工程でも使用されます。大量生産を行う自動車部品において、検査の効率化は重要なポイントの1つです。検査治具は主にノギスやマイクロメーターなどで容易に品質検査ができないワークで使用されます。

一般的に検査治具と聞くとゲージを想像される人が多いと思います。ゲージはワークが決められた寸法で製造されているかを確認する為の検査治具です。ゲージを使用すれば、検査員の熟練度に関わらず、製品を合否判断できます。

自動車部品製造装置用治具のコストダウン方法

治具の種類についてみてきました。いずれの治具も効率よく製品を生産していく為には必要不可欠なものであることが分かります。しかし、コスト競争が激しい自動車部品業界においては、常にコストダウンが求められており、もちろん治具も例外ではありません。治具のコストダウンについて、材料と製造方法の2点を見ていきます。

材料を見直す

まずは材料の見直しについてです。主に治具にはステンレス、アクリル樹脂、アルミ合金、PEEK材、フッ素樹脂などが使用されることが多いわけですが、求められるスペック以上の材料を使用している可能性がある場合は、材料の見直しを行なうことでコストダウンをすることが可能かもしれません。

例えば、加熱炉を通過する樹脂で作った搬送治具のパターンについて考えていきます。元々耐熱温度を150℃に設定し、PEEK材を採用していたとしましょう。しかし、実際の加熱炉温度は運用上は100℃前後でしか使用しないことが分かった為、搬送治具の材料をPEEK材からMCナイロンに変更することでコストダウンが可能です。

製造方法を見直す

次は治具自体の製造方法について確認していきます。こちらも搬送治具のケースで考えていきます。ピッチ送りのチェーンコンベアに搬送治具を取り付けていたとしましょう。この搬送治具は初期設計時はある程度の重さのワークに耐えられるようにブロック材の削り出し機械加工で製作していました。

この場合、機械加工から板金加工に変更してコストダウンすることが可能です。一般的に板金加工品は機械加工品に比べて、強度が落ちる傾向にあるので、設計変更に見極めは必要ですが、製造方法を変えることによって大きくコストダウンをすることが可能です。

まとめ

一度設計した治具はなかなか設計変更しにくいものですが、実情に合わせて必要事項の見直しを行うことで、コストダウンの方法が見えてきます。自動車部品の製造はコストとの戦いです。競合に競り勝つ為にも、治具のコストダウンについても検討してみてはいかがでしょうか?

 

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